2013年12月15日日曜日

ナショナリズムというウイルスないしフクロムシ

2007-03-22 ナショナリズムというウイルスないしフクロムシ 編集CommentsAdd Star

この世界にいる誰もが、私を含めて、ナショナリズムというウイルスに感染しているんです。感染していない人は世界宗教とか革命イデオロギーとか別種のウイルスに感染しているんです。(『国家の自縛』より 佐藤優
生物学的な人口に膾炙した言葉を、自己の論説を下支えする材料として使うというのはありがちな似非科学だ。だから、このような自他を同一に客観視できる佐藤優という人物はやはり只者ではないなと感じる。
現在、政治・経済に権威付けのために流用されている言葉はDNA(日本人のDNA、トヨタのDNA)だが、これも数十年後にはファニーに映る恐れが多分にある。ナチの血統理論や骨相学。映画の『僕を愛したふたつの国』の中ではコメディに骨相学が取り上げられていて最高だった。
ともかく、隣国を貶めなければ自国ナショナリズムを語れない東アジアの哀しい構造を、十二分に知悉している筈の古田博司先生すらが、日本ナショナリズムの論壇戦士として身を投じるに至っている。まあ、時代精神というのはそういうものなのだろう。前世紀の30年代には『華麗なるギャッツビー』を書いたフィッツジャエラルドすら共産党への入党を希望した。社会主義リアリズムとはどう首をひねっても転化できない彼の作品が仇となって(今となれば幸運にも)断られたが。
私自身も、別種のウイルスに感染していることに自覚的であらねばならぬ。あえて、牽強付会であるが、以下の寄生虫を紹介したい。(多少グロではあるが、ご勘弁)寄生虫に人間が自己の精神・行動態様まで影響を及ぼすというのは、ありがちのテーマで幾多の作品がモノにされている。最近のヒット作は貴士祐介の『天使の囀り』か。
ここで、先日挙げた、類まれな論点整理者の過去回答からとても面白いコンテンツを見つけたので紹介したい。(AOLはすっかり過去の企業と思っていたが、なかなかFAQのレベルが高い。)
あまり知られていないがフクロムシというインセクトがある。宿主のカニをメス化して行動態様まで変えてしまう。いったん寄生すると体内からはみ出した部分をいくら切除しても、まったく効果がない。
『思想という名の毒薬』とは古田博司先生が、軽妙な文体の中に内容の濃いエッセイだったが、僕も貴方も寄生されているという文脈で捉えると、なぜあれほどの激情や冷笑にとりつかれるのかいささかなりとも理解できるような気がする。
私のなかに巣くっているフクロムシはどんなタイプなんだろうね。
http://www-es.s.chiba-u.ac.jp/paleo/topics/rhizocephara.html
http://homepage2.nifty.com/hukuromushi/hukuromusi_008.htm
(写真は結構グロイ)

そういいながらも、資金的に行き詰ったチャンネル桜が残存資本をかき集めて、失敗が約束された映画製作に向かうさまを見ると、それなんてマリアナ?(沖会戦、レイテでもいい)と残酷な喜びがこみ上げてくるのを否定できない。

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