2012年7月11日水曜日

マクニールの戦争と世界史

マクニールは一流の歴史家です。特に該博な内容を、抑制の効いた皮肉を込めて記述する部分に私は惹かれます。

395頁
こうして官民間に高速度で循環するフィードバック・ループが生まれ、海軍本部の財政上・経営上の決定と、また表向きは民間企業である武器製造会社の財務上・経営上の決定とは縦横の糸のように交錯し合った。そしてついに、公共政策と、民間企業のポリシーは、二度と解きほぐせないほど緊密な布地に織り合わされたのである。さて、1920年代・30年代のイギリス自由党も、1950年代以降のマルクス主義(もしくは擬似マルクス主義)を報じる歴史家たちも、ひとしくこの官民混合体を批判したのであったが、どちらもひとしく、この混合体の中で支配権を握っているのは民間企業の側だと主張した。かれらの見解によれば、利潤の追求こそはこの混合体を動かすエネルギーであった。それ以外のいっさいはそこからの派生物にすぎず、自分自身も金持ちになり、自分が仕えている株主たちをも金持ちにしようと望む、抜け目がなくて欲深な男たちによって操作されているというのであった。

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